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トラの巻

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人生上手は不動産上手。ウソかマコトかさくら管財の不動産コラム。

第7回 一泊300万円の宿

一泊300万円の宿があったとします。
「あなたはこの宿に泊まりますか?」という質問にほとんどの方はNOと答えると思います。
しかし、世の中にはそんな宿がたくさん存在し、多くの方が宿泊している事をご存知でしょうか?
それは、ラスベガスやドバイにある超豪華ホテルのことではありません。
東京を始めとする日本の主要都市にいくつも存在しているのです。

時折、築後1年しか経過していない中古マンションが、新築価格の1~2割安い金額で出ているのを目にします。新築マンションを4,000万円で購入し、1年間住んだ後に売ろうと思ったら3,600万円でしか買手が付かなかったという話は十分ありえる一般的な話です。
では、その価格の隔たりのターニングポイントはどこなのでしょうか?
品確法によると「新築住宅」の定義として「新たに建設された住宅で、まだ人の居住の用に供したことのないもの(建築工事完了の日から起算して1年を経過したものを除く。)」とあります。
つまり新築マンションに入居した次の日から、その部屋は販売の際、中古表記しなければなりません。
また、赤の他人が使用した畳やトイレ・浴室・洗面化粧台からキッチンの魚焼き器にいたるまで、いくら新しくても「ケチ」がついた商品となりますので、大幅な減価は免れぬところです。
そう考えると新築マンションが一泊300万円の宿と表現しても必ずしも的外れな表現ではないのです。

しかし、価格が短期間で下がる事はしょうがないとして、下がりにくい物件を選ぶにはどうしたら良いのでしょうか?
答えからいうと、それは地の利を味方に付けた物件を探す事です。
新築マンションの価格要素を分解してみると土地代・建物代・販売経費・デベロッパーの利益の4つで構成されています。
悲しい事に区分所有マンションの場合、居住者自身が施主となって直接建設会社に施工させるという形態がほぼありえませんので、土地・建物の純粋な原価以外の余分な費用のために代金を支払う事になります。
それでも市場に流通する分譲マンションの100%近くはこの形態ですので、販売経費やデベの利益を広義の建物代と考えてもよいのだと思います。
すると土地代と広義の建物代の2つに分かれるのですが、物価が変わらない事を前提とすると、年月が経過する事に価値が下がり続けるのが建物代であります。つまり、土地評価の低い物件ほど販売経費等で膨らんだ建物の比率が高くなり、数年でも大幅な価値の低下が起こりやすくなります。
この値下がりを回避するには、とにかく土地評価割合の高い物件を探す事につきます。
新築より中古、予算があるならマンションより戸建と考え適度な築年数の物件を拾うか、場所も良くて安いけど古さが難なら思い切ってリノベーションするのもよいと思います。

よい土地というのは建物の魅力を引き出す不思議な力があります。
例えば、駅から近い1億円の一等地に1億円の価値の豪邸が建っている場合、2億5千万円で売りに出しても買手がつく可能性があります。
逆に1,000万円の不便な場所の土地に1億円の豪邸を建てても、1億円はおろか3・4割引いても容易に買手は付かないことでしょう。このように土地は建物の価値を上げたり下げたりする力を持っているのです。
子孫に渡る長い将来を見据えての物件をお探しの方に良いのは、更地の状態でも収益が上がる物件です。
更地でしたら素人でも運用できます。更地と言えば駐車場です。
駐車場として有効利用を考えれば土地の形状や地域の需給関係を考えておかなければなりませんが、電気自動車が普及しているであろう将来、充電設備の付いたパーキングスタンドは、今のコインパーキング以上に街の需要があるかもしれません。
永遠に変わらない輝きで純金が不変の価値があるのと同様、更地でも収益があがる土地というのは代々に渡り不変の収益を提供してくれるのです。

一泊300万円の宿に泊まる事が決して悪いことではありません。
問題は、宿泊する方がその認識を持って宿泊しているのかという事です。
私なら300万円余分にあれば、お風呂場の改装と寝具に費やします。
最新設備の広いお風呂で心と体を癒して、それこそドバイの高級ホテルにあるようなベッドで睡眠をとれば、少なくとも残りの人生の3分の1は幸せに過ごせる気がします。
ただ、人によって価値観は違いますので、それでも新築を選択される方を否定すべきものでもありません。
大事な事は、新築物件同士の比較だけでなく、中古物件との比較や将来の事も考えた上で物件選びをされて害はないということなのです。
by toranomakik | 2011-03-05 22:00

by toranomakik